業務量調査、難しいです。でも、必要です。

生活

 気になった記事があったので「アンケート」とググって見たら、総務省の「アンケート」という文書が出てきました。最初に気になった記事より、こっちの方が気になったので読んでみました。

 するとアンケート以外に「業務量調査」という言葉の説明もありました。現役時代に関係したことがある言葉だったので読み進めてみました。

 業務量調査(総務省文書より)

I. 概要 業務量調査とは、対象の業務ごとに処理時間、処理件数、人員数等から組織の業務量を把握する調査である。対象の業務を実施している人員数から業務量を把握する簡易な調査や、作業単位に細分化し、各作業にかかっている処理時間から業務量を把握する詳細な調査がある。

II. 目的(必要性)業務量調査は組織における何らかの改変前後の現状把握を目的として実施される。
・ 改変前 人員適正配置、制度改正、業務改善の実施前において、改変方法・対象を検討するための参考情報収集を目的として実施される。
・改変後 改変後の効果の検証をするための参考情報の収集を目的として実施される。

 これ以外に、実施方法、活用方法、活用の留意点などが書かれていました。さすが総務省で、うまく整理されている文書だなと思いました。

 実施するにあたって難しいのは、数値をどのようにして把握するのかという点と記入してもらう人にどう使うのかを、いかに納得して書いてもらうのかです。

測定方法と結果

 測定方法には、総務省さんの書かれている通り、1実測法、2実績記入法、3推定積み上げ方式、4比率算出法があります。

 1実測法と2実績記入法は正確にわかる方法だと思いがちです。確かにしっかり調べることができればいいのでしょうが、現実的には、測定する前に挫折することがほとんどだろうと思います。

 業務量調査を導入しようとするときに、この方法について意見を述べる人は、実はあまりやりたくない人が多かったような印象があります。

 年間の事務事業について正確に測定するのは現実的ではありませんし、途中で「こんなことして何になるの?」という意見が必ず出てきます。

 なので、現実的には推定積み上げ方式でやるしかないのだろうと思います。4の比率算出法もありますが、こちらの方は、算定する人が望む方向にバイアスがかかる可能性が高くなると思います。

 しかし、推定積み上げ法もやってみるとなかなか難しいものです。正確に記入しようとする人でも、積み上げて見ると実際の業務時間と大きく異なるようなことが出てきます。

 中には、自分が仕事をしていることをアピールするために結果から逆算して、時間を埋めていく人もいます。

 こうやって「そんなことをしてもなんの改善にもならない。」という人が出てきますし、途中で作業が終了することになります。

何のためにそれを行うのか

 結局、失敗する原因は、何のためにそれをしようとするのか、なぜそれが必要なのか、その結果をどう使うのかということを参加者が納得していないからです。

 「組織機構改革の時に適正な人員配置をするため」大体こういった理由で導入しようとします。すると誰しも自分の関係しそうな部署の人員数を守ろうとするバイアスが働いて、それが不利に働きそうになると「こんなことをしても正確な業務量などわからない。」などと言い出します。

 相当話し合いを重ねて、参加者がその必要性について腑に落ちていないと(理解するだけではだめです。)大体変な数値が出て、批判する人が増えるだけの状態になります。

経験から

 私の所属していた市役所では、1回だけ、全職員を対象に業務量調査を実施して、最後までやり抜いたことがあります。

 でも、それは財政状態がとても悪くて、全国の財政難市町村ベスト10に入るという報道があった時のことでした。

 確かにとんでもない財政難で財政調整基金が3000万円しかないといった時期でした。3000万円なんて、持っている人は個人でも持っています。自治体を運営する基金量ではないですよね。そんな時でした。

 これくらい厳しいときで、せっぱつまらないとなかなか導入は難しいと思います。しかしながら、組織全体の業務量を把握することは大変重要なことです。

 どうにか把握する工夫が必要です。

どうするか

 では、どうするのか?です。

 「できない理由を述べるのではなく、どうするのか考えろ。」これは、私自身が、行革の責任者をしていた時に、部下に言っていた言葉です。

 今、考えるとずいぶん厳しいことを言ったものだと思います。組織全体を敵に回すような仕事ですからそんな簡単なことではありません。今でも、申し訳なかったなと思います。

 さて、どうするかです。

 やはり簡単ではないのですが、行革のための年間スケジュールを作って、その中に業務量調査が必要な状態を作っていく、その上で、グループウェアなどが入っているところでは、スケジュールに入れる工夫をするなど日常生活に組み込んでいく、その上で、しっかり作業管理をする人と仕組みを入れて、スケジュール化していく。

 そういった工夫が必要だと思います。「日常化する」このことがポイントだと思います。公務員の場合、仕事が終わるのは5時15分ですから5時からの15分間をこの作業に充てる。そしてその記入状況を報告させて確認する仕組みを入れる。

 こういった取り組みになるのだろうと思います。

まとめ

 とはいうもののやはり、実際に作業を行うのは難しいです。

 根気が必要ですが、その必要性をずっと話すことなのでしょうね。そして、その話をし続けるためには、その話をする人が職員に信用される必要があります。

 「何だか綺麗事言ってるけど、信用できないよな。」と思われるうちは絶対にできません。

 そう言った意味でも難しい作業なのです。

 それでも、いつかまた財政的に困って、組織機構や人員整理しないといけない時はくるのだろうと思います。

 その時にためにも、今のうちからその意識だけは持っておきたいものです。我が後輩たちはそれができると信じています。一緒に作業に苦労した後輩もまだ残っています。

 今年は、行財政改革をしないといけない年です。

 がんばりましょう。

I wrote about the workload survey. It’s necessary, but it’s a difficult task. The point is “everyday”. I was reading a document from the Ministry of Internal Affairs and Communications and was motivated to write it. It was a well-organized document, but it is not easy to introduce it in reality. But it’s important.

 


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