補正予算って「できる」ものです。財政規律も大切です。

生活

 最近は、行革や補助金など行政関連の記事が続いていますが、今回も行政系の話題を書きたいと思います。

 昨年から新型コロナウイルス感染症の関係で、地方自治体では、異例の予算措置が続いています。中でも通常はあまり行わない補正予算の専決処分なども多くの自治体で行われました。

 国の方でも、地方でも、補正予算が連発されてきた印象があります。ここで、少し補正予算がどういったものかの確認をしておきたいと思います。

 本来は、補正予算は簡単に提案されるべきものではありません。その編成のあり方は、慎重に行わなければならないものです。

補正予算って何

 行政組織の予算は単年度主義で編成されます。年間に必要な予算は、年度始めに全て計上しておかなければなりません。

 いわば補正予算は特例的な考え方で編成すべきものです。しかしながら、最近は、国も地方公共団体も補正予算があるのが普通のような感覚で編成されているような気がします。

 国と地方公共団体の予算編成とを比較してみましょう。

国の補正予算

 国の場合には、補正予算は財政法で次のように規定されています。毎年度決算審査が終わった後、繰越金などが判明したら、当然のごとく補正予算案を国会に提案してきていますが、本来は、必要な予算の追加などを行う場合に策定すべきものなのです。そんな感覚ありますかね?

 令和2年度予算など、新型コロナウイルス感染症に対応するために、当初予算議決後、すぐの4月に補正予算が策定されています。通常では考えられないことです。

第二十九条 内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。
  法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合
 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合

地方の補正予算

 続いて、地方公共団体の補正予算を見てみます。地方公共団体の場合には、おなじみ地方自治法で以下のように規定されています。

(補正予算、暫定予算等)    *地方自治法
 第二百十八条 普通地方公共団体の長は、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは、補正予算を調製し、これを議会に提出することができる。
  普通地方公共団体の長は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を調製し、これを議会に提出することができる。
 前項の暫定予算は、当該会計年度の予算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定予算に基づく支出又は債務の負担があるときは、その支出又は債務の負担は、これを当該会計年度の予算に基づく支出又は債務の負担とみなす。
 普通地方公共団体の長は、特別会計のうちその事業の経費を主として当該事業の経営に伴う収入をもつて充てるもので条例で定めるものについて、業務量の増加により業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、当該業務量の増加により増加する収入に相当する金額を当該経費(政令で定める経費を除く。)に使用することができる。この場合においては、普通地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。

 地方公共団体の場合にも、「既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたとき」に補正予算を調製し、議会に提出することができるということになっています。

 地方公共団体の定例議会は3月、6月、9月、12月に行われます。だいたい毎回補正予算案が出されますが、補正予算を出さないといけないというわけでありません。考えてみれば、出さない方がいいんですよね。

 地方自治法218条には、暫定予算も想定されています。3月議会で、次の年度の当初予算を審議していただき、議決ということになりますが、それが、なんらかの理由でできなかった時に、暫定予算は編成されます。

 暫定予算も議会の議決が必要になりますので、3月末に議決予定だった当初予算が突如議決されないという事態にでもなると最悪です。

 議案を議会に提案する時間さえなくなると暫定予算を専決処分するということになります。すると新しい年度に入ってできるだけ早く議会を開いていただいて、当初予算を議決してもらう必要があります。

 しかし、今度は、前年度予算を専決処分したものを議会で報告する必要がありますので、財政当局は、地獄のような作業になってしまいます。当初予算の議決は本当に大切です。

まとめ

 補正予算のことを書こうと思っていましたが、暫定予算や専決処分のことまで書いてしまいました。最初にも書きましたが、補正予算は、「できる」ものであって、調製しなければならないものではないんですね。

 それどころか、年度中に必要な予算は、当初予算に盛り込むべきものだという単年度予算主義から考えると、できるだけ避けるべきことと言ったほうがいいのかもしれません。

 最近は、新型コロナウイルス感染症の関係で、補正予算連発という感じさえありますが、落ち着いてきたら、なるべく編成しないですすむようにしたいものです。

 そして、国の予算に関しても、秋口に当然のごとく補正予算の話になりますが、もう少し考えてもいいのかもしれません。

 もうあまり言わなくなってしまいましたが、日本の国の財政状況は世界中の国と比較しても最悪の状況です。

以下の図表は、財務省からお借りしたものです。やはり、ちゃんと考えないといけないと思います。

I thought about the supplementary budget. In the country, and much of the press, it’s about supplementary budgets every fall. It has been going on for a long time, so it has become a matter of course, but the supplementary budget is essentially something that can be done. Given the current financial situation, we need to think a little.