過疎法制の応援団。人口減少を考える。

生活

  人口減少について考えてみました。田舎の小さな町にいくと、住民の間で話題になるのが人が減ってきたということです。

 「若い人がいない。」「後継者がいない」「伝統行事をやってくれる人がいない」そんな話を聞くことが多いように思います。

 いわゆる「過疎地の悩み」です。でも、そんなに人が少ないってことは問題なのでしょうか?日常的な挨拶のようになってしまっているような気がしてちょっと考えてみました。

 過疎地域関連法

 私の住んでいる地域もそうなのですが、いわゆる過疎地域は、過疎法制で守られています。少しだけ、過疎地域に関連する法制度について紹介してみたいと思います。

過疎法制

 昭和30年代以降、都市部と地方とで人口の格差が生じるようになり、その問題に対処するために議員立法で過疎対策法が制定されました。

 昭和45年に最初に制定されたのが、「過疎地域対策緊急措置法」です。法律自体は時限立法として制定されましたので、時間が経過するごとに新しい法律が制定されていきます。

 「昭和55年 過疎地域振興特別措置法」「平成2年 過疎地域活性化特別措置法」「平成12年 過疎地域自立促進特別措置法」という順序で法律が制定されています。

 そして、平成22年には、過疎地域自立促進特別措置法が6年間延長されますが、平成23年の東日本大震災の発生により過疎施策の実施が困難だとして、平成24年にさらに5年間延長され、現行法の有効期限は平成33年3月末とされています。

新たな過疎対策の考え方

 このように進展してきた過疎法制ですが、コロナ禍の現在、やはり新たな考え方が必要なようです。何となく、それを感じていた私ですが、以前に講義を受けたことがあり、お会いしたこともある宮口先生がそういった意味のことを総務省の懇談会の挨拶文で述べられていますので、少し、紹介します。

 「今やわが国の全体人口が減少する流れの中で、過疎地域の人口を単純に増やすという発想は捨てざるを得ない。過疎地域の多くは、土地と自然資源を巧みに活用してくらしを営んできた。少数であっても、そこに新しい力を持つ人が加わり、地域資源をさらに高度に活用して、都市にはない価値を蓄積していくことができれば、わが国は多様な空間の価値の上に発展的な国土を構築することができる。その意味で、過疎地域の目指すコンセプトを「先進的な少数社会」と掲げたい。そのためには次の時代を生きる人材の育成が喫緊の課題である。令和2年 4月 総務省 過疎問題懇談会 座長 宮口 侗廸」

 大変失礼な言い方で申し訳ないのですが、さすが、宮口先生だと思います。私たちの感じていることを端的に捉えていただいていると思います。

 過疎法制の考え方も変えるべきだと私も思います。

自立という言葉

 これまでの過疎法制は、「振興」「活性化」「自立」という言葉の流れになっています。そして、法制上の言葉は「自立」で止まっています。

 何だか、突き放されたように感じる人もいると思いますし、私自身もそう感じてきました。実は、過疎関連法制では、地方公共団体は「過疎計画」なるものを策定し、議会に計上して議決を受けなければなりません。

 その議決がないと「過疎債」という「魔法の借金」を起債することができません。その制度の功績自体は評価するものですが、「自立」という言葉との間での感覚のずれのようなものを私自身も感じてきました。

 私自身、過疎地域活性化措置法の計画策定にも過疎地域自立促進特別措置法の計画策定にも関与してきましたので、実感としてその感覚はあります。

 過疎法制の期限切れをまじかにして、私たちは、本当にその言葉とのずれを考えなければならないのかもしれません。

 そのことを、宮口先生の言葉が、端的に示しているように思います。

まとめ

 私が勤めていた市役所でも、新しい過疎法制に向けての取り組みが始まっていくのだろうと思います。

 送付された法律を読んだり、制度説明のための要綱などを読むのも大事だと思いますが、その法律を策定するまでの背景となる議論をしっかり読み込んで、作業を進めて欲しいものだと思います。

 そういった読み込みがないと計画や取り組み自体に「魂」は入らないと思いますし、先に述べた、制度上の言葉と現実との「ずれ」のようなものに気づきにくいと思います。

 背景や考えかた、肌感覚まで読み込んだ「計画」はやはり違ってくるものだと思います。私も地元で宮口先生とお酒を飲んだことがありますが、先生の厳しい口調の裏には、そんな、過疎地域を見守る優しい視線があったように覚えています。

 関係者は過疎地域をしっかり支えてくれることでしょう。

 過疎地域の自治体の皆さん、頑張りましょう。

I thought about population decline. It’s a story of the depopulated legislation that I have experienced before. Let’s study. Whenever the legal system changes, there is a lot of debate in the central ministries. Not only officials but also members of the Diet and scholars’ teachers will be mobilized for discussion. Let’s study.

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