2021年の今、巷は新型コロナウイルス感染症の話題一色です。そりゃ、そうですよね。人命に関わることです、まず、一番に考えないといけないと思います。
さて、今を遡ること20年前後、2000年前後の日本では、改革という言葉が踊り、いろんな分野での改革が行われました。平成の大合併や三位一体の改革などが行われた時期です。小泉改革などと呼ばれた時期でもあります。
私の所属していた自治体でも市町村合併が検討され、行財政改革が叫ばれたりしていました。三位一体の改革の余波を受け、地方交付税は削減され、財政状況は最悪。
その時代以前にもてはやされていた、地域総合整備事業債などの交付税措置のある地方債などは、諸悪の根源のような言われ方をしました。
赤字国債の発行ができないので、地方に変わって起債をしてしてもらい国の経済浮揚につなげたいとしていた昔の事など忘れたかのようでした。
今日は、そのいろんな役割を果たしてきた地方債について書いてみたいと思います。
結論、地方債は悪者ではありません。しっかり計画的に役割を考えながら使用すれば、しっかり地域経済の浮揚に繋がります。交付税制度を熟知し、起債種別の中身を把握して、予算編成の中で調整する仕組みを作れば、しっかり機能してくれる頼もしい制度です。単なる借金ではありません。
では、少し、地方債についてみてみます。
地方債とは
ここでは、しっかりと本家本元である財務省さんのホームページを参照させていただいて基本をおさえておきたいと思います。
地方債とは *財務省ホームページより 地方債とは、地方公共団体が財政上必要とする資金を外部から調達することによって負担する債務で、その履行が一会計年度を超えて行われるものをいいます。地方債は原則として、公営企業(交通、ガス、水道など)の経費や建設事業費の財源を調達する場合等、地方財政法第5条各号に掲げる場合においてのみ発行で きることとなっています。 ただし、その例外として、地方財政計画上の通常収支の不足を補填するために発行される地方債として臨時財政対策債が平成13年度以降発行されています。
地方財政法についてもおさえておきます。
(地方債の制限)第五条 *地方財政法より 地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもつてその財源とすることができる。 一 交通事業、ガス事業、水道事業その他地方公共団体の行う企業(以下「公営企業」という。)に要する経費の財源とする場合 二 出資金及び貸付金の財源とする場合(出資又は貸付けを目的として土地又は物件を買収するために要する経費の財源とする場合を含む。) 三 地方債の借換えのために要する経費の財源とする場合 四 災害応急事業費、災害復旧事業費及び災害救助事業費の財源とする場合 五 学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾その他の土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費(公共的団体又は国若しくは地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものが設置する公共施設の建設事業に係る負担又は助成に要する経費を含む。)及び公共用若しくは公用に供する土地又はその代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費(当該土地に関する所有権以外の権利を取得するために要する経費を含む。)の財源とする場合
地方債は単なる借金のようにイメージする人も多いですが、そうではないんですね。長期にわたって使用する公共施設などの性質を考えて、世代間の公平性を担保するために作られた制度です。
そういった基本の部分をしっかり押さえておく必要があります。
地方債の分類
次に地方債の分類を見てみます。ここでも財務省さんのお力をお借りします。財務省ホームページからの資料です。
資金面からの分類
資金の面から分類を見てみると、以下のようになります。
大きく分けると、公的資金と民間資金に分かれます。借入先が違うんですね。公的資金の方が利率が良かったように覚えていますが、今もそうなのでしょうか。(ここら辺は現役の人に聞いてください)
事業面からの分類
事業の面から分けると以下の通りです。 *財務省ホームページより
大きく分けると、一般会計債と公営企業債ということになります。一般会計債のなかでもいろんな種別がありますが、財政状況を考えながら予算編成をするときには、この種別に注目して、それぞれの性質を考えながら起債することが大切です。
災害復旧関連の起債は自動的に決まってしまいますが、それ以外では、計画の作り方、事業の整理の仕方によって、使える起債種別が変わってきます。
ここら辺が、財政の腕の見せ所ですが、実際には、予算編成の前に企画部門が、どれだけ、財政を意識しながら計画を整理できるかという点にも関係してきます。
企画部門が、財源を考えながら計画調整するかしないかで大きな違いが出てきます。
過疎債、辺地債
そこで、人口の少ない地方部の小規模市町村にとって、とてもありがたいのが、「過疎債、辺地債」です。なぜありがたいかというと、少し勘違いしそうな言い方になってしまいますが、過疎債の場合、70ペーセントが、辺地債の場合、80パーセントが後から、地方交付税として返ってきます。
両方とも基本的に充当率100%(借入対象の100%を認めますとの意)ですので、実質2、3割の借入で事業ができてしまいます。
最近では、一般単独事業の緊急防災・減災事業債も70パーセントの交付税措置があります。こういったものを工夫しながら予算編成をすることになります。
特に、過疎債や辺地債は、それぞれ法律がありますし、計画を策定して、議会にかけて認めてもらう必要がありますので、企画部門との連携は欠かせません。タッグを組みながら、予算編成作業を行うことになります。
地方債は借金か
このように地方債にはいろんな種別があり、使い方によっては、地域経済の浮揚に使える大切な政策手段です。
確かに、地方公共団体が。政府や銀行から借入をするわけで、その意味では確かに借金なのですが、大きな意味では、大切な政策手段だと思います。しっかりと仕組みを理解して、使いこなせればとてもいい仕組みです。
大事なのは、「仕組みを理解し、使いこなす」ことです。ある意味カンフル剤にもなりますが、頼りすぎてもいけない強力な薬だといえます。
交付税制度も勉強して、財政部門だけでなく、事業課でも、しっかり使いこなしてもらえたらいいなと思います。
まとめ
なんとなく、昔を思い出して、地方債のことを書いてしまいました。久しぶりに財務省のホームページもみてみましたが、地方債計画の中の種別はそんなに変わってないですね。
地方債計画の中では、一般会計債の中の「6一般単独事業」以下の項目をしっかり理解し、いかに使いこなすかにかかってくると思います。
起債の種別、性質、地方交付税制度を理解し、企画部門の中の計画策定でも意識しながら策定する、そして、公共施設の管理部門で現状の公共施設の状況、将来の需給状況を事業課と一緒になって把握をしていくそんな仕組みを持続できれば、安定的な行政経営ができると思います。
実の所、今の政府の財政状況では、以前のような縮小、カットの時代が再度くるような気がしています。
今のうちに備えて欲しいものだと思います。
It is full of reports related to the new corona. Emergency measures are important. But I dare to look back on what happened 20 years ago. As one of the materials, I took up “local bonds”. “Municipal bonds” are not simple debts. Get a firm grasp and prepare for the future.