昨日は、地方債のことを書きましたが、その中で書いたように、財政再建が必要になるほど厳しい財政状況の時に考えなければならない仕組みの一つに地方交付税制度があります。
今日は、こちらの方を少し紹介してみたいと思います。昨日と同じように、以下は総務省さんのホームページの記事をお借りしています。お世話になります。
地方交付税制度の概要
それでは、まず、一般の方にはあまり馴染みがない言葉だと思いますので、地方交付税制度の概要から紹介します。
一般的には、地方交付税には2つの機能があると言われています。それは、財源調整機能と財源保障機能です。
東京など都市部は所得の大きい大企業も多く、税金を集めやすい環境にあります。そういったところと田舎のあまり税収入の見込めない地域との財源を調整しようという考え方が、財源調整機能です。
一方、財源の少ないところに住んでいる住民にも一定程度の行政サービスの水準は保障しようという考え方が、財源保障機能です。

地方交付税制度の性格
それでは、総務省さんにもお手伝いいただいて、地方交付税の性格をみてみたいと思います。総務省さんによると以下の通りです。
性格 地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」 (固有財源)という性格をもっています。
総務省さんの解説の中にも財源調整機能と財源保障機能が出てきます。
地方交付税制度の財源
それでは、次に地方交付税の財源に焦点を当てて、見てみます。総務省さんでは、「総額」となっていましたが、財源の方がわかりやすいと思いましたので、こっちにしました。
地方交付税の総額は、所得税・法人税の33.1%(平成27年度から)、酒税の50%(平成27年度から)、消費税の19.5%(令和2年度から)、地方法人税の全額(平成26年度から)とされています。 (地方交付税法第6条)
お酒の税金の半分は、地方に流れる仕組みなんですね。それと消費税の2割ほども。所得税・法人税と合わせて一定程度は地方に配分されます。

地方交付税の種類
地方交付税には2つの種類があります。以下が総務省さんの紹介です。
地方交付税の種類は、普通交付税(交付税総額の94%)及び特別交付税(交付税総額の6%)とされています(地方交付税法第6条の2)。
普通交付税と特別交付税ですね。そのほとんどが普通交付税です。特別交付税は、その名前の通り、特別な財政需要を考慮して交付されます。予測できない財政需要というと「災害」がその代表的なものです。
「災害」以外の事情も考慮されますが、一定のものには決まり事があって、財政関係者の中では、「ルール分」と呼ばれています。
この「ルール分」のことをわかっていると施策を組んでいくときに、財政的に有利な運用の仕方をすることができます。
普通交付税の算定方法
それでは、全体の大きな部分を占める普通交付税はどのようにして算定されるのでしょう。その方法を総務省さんに教えてもらいましょう。
普通交付税の額の算定方法は下式のとおりです。「基準財政需要額」、「基準財政収入額」等について以下に解説を加えております。
- 各団体の普通交付税額 = (基準財政需要額 - 基準財政収入額) = 財源不足額
- 基準財政需要額 = 単位費用(法定)×測定単位(国調人口等)×補正係数(寒冷補正等)
- 基準財政収入額 = 標準的税収入見込額 × 基準税率(75%)
この中で、基準財政収入額で、税収の見込額全部を算定するのではなくて、75%の基準税率をかけるところがミソですね。
そりゃ、そうです。全部を国が面倒見てくれるのであれば、税収を確保する努力なんてしなくなりますよね。そこは、ちゃんとしなければなりません。

財政健全化で考慮すべきことの一つ
地方交付税の仕組みについて、書いて見ました。詳細に書き出すともっと難しくなっていくのですが、今日のところはざっくりと説明しました。
財政健全化を考えるときに、どういった部分を考えるかというと、先ほど書いた特別交付税の「ルール分」もそうです.
しかし、もっと大きいのは、基準財政需要額の中の、公債費の部分です。事業のために起こした起債の中には、一定部分を基準財政需要額の中に算定してもらえるものがあります。
代表的なのが、昨日紹介した「過疎債」「辺地債」です。
起債を考えるときに、こういったものと活用しながら事業を進めていくと財政健全化に資する事業計画書ができます。
余談:マズローの欲求の5階層
地方交付税について、紹介をしました。その仕組みを理解して、うまく活用すれば、財政健全化に資することができる仕組みだと思います。
地方にとっては、財源を保障する仕組みでもあるので、自治体にまるで、「ここにいてもいいよ。」と言っているような仕組みだなというのが、私の個人的な感想です。
ここで、少し余談になってしまいますが、最近私が、感じていることを書きます。
みなさんは、「マズローの欲求の5階層」って知っていますよね。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 所属と愛の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
のことです。この中の交付税の仕組みなのですが、国と自治体との関係性で考えたときに、最近、私は、交付税の仕組みが「4承認の欲求」に該当するものに思えて仕方ないのです。
今、私の住んでいる街では、大きなNIMBY問題が起きています。その反対する人の考え方が、「5自己実現の欲求」をNIMBY問題が大きく阻害するとの認識から反対しているように思えてしまいます。
「いい、悪い」とか「賛成、反対」とかではなく、そう思えてきて、興味深いなーと思ってしまいます。
すみません、ほんとに余談でした。

まとめ
少し、余談を挟みながら、地方交付税制度について書いてみました。地方自治の根幹をなす制度であり、使い方によっては、財政健全化に資する制度です。
財源の少ない地方にとっては、大切な財源でもあります。研究をして、しっかり活用してもらいたいと思います。
また、感じるのが「交付」されるお金だからと言って、変に低姿勢で受けるものでもないなーということです。
地方公共団体は、国の一部をしっかりなすものですし、国家主権である国土(領土、領海、領空)、国民、統治制度の基本となるものです。
それこそ堂々と、「ここにいるからちゃんと財源をください。」と主張していいのだと思います。
I wrote about the local allocation tax. It’s a system that I’m curious about. I mixed the topic of Maslow a little. The allocation tax system has the functions of financial resource adjustment and financial resource guarantee. Is it just me who feels like being told, “You can stay there.”
