防災基本計画の修正。そして、「自・共・公助」考察

生活

 今日も雨模様です。暗い空の日々が続きます。私の住む地域は、もうすでに梅雨に入っています。気分も曇りがちになる季節です。

 梅雨を迎えると気になるのが災害です。大雨警報が出るたびに何時であろうと庁舎に向かう生活をしてきましたので、やはり、この季節を迎えると天気が気になってしまいます。

 昨夜は、スーパームーンでかつ皆既日食でしたが、満潮時に潮位が高くなることも予測され、低い土地での浸水や冠水が心配されていました。

 私も今朝6時すぎくらいに海にビデオ撮影に出ましたが、いつもとは違う潮の高さでした。今朝の満潮時刻は6時42分でしたので、もっと高いところまで潮が来ていたのだろうと思います。

 さて、この季節は災害対策が気になるところです。そこで、今日は、日本の災害対策の基本となる災害対策基本法について見てみることにしました。

防災基本計画について(令和3年5月25日修正)

 ネットで調べると、なんというタイミングでしょう、令和3年5月25日付け(一昨日です。)で計画の修正がされていました。 紹介します。

 防災基本計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第34条第1項の規定に基づき、中央防災会議が作成する、政府の防災対策に関する基本的な計画です。

 昭和38年に策定され、毎年のように修正がなされています。今回は令和3年の修正点について紹介します。

災害対策基本法を踏まえた修正

 まずは、災害対策基本法を踏まえた修正について見てみます。 

〇災害対策本部の⾒直し


・特定災害対策本部の設置
・⾮常災害対策本部⻑を内閣総理⼤⾂に変更
・災害が発⽣するおそれがある段階での災害対策本部の設置

 まず、災害発生時の政府本部に修正があったようで、非常災害に至らない大規模災害の場合を想定し特定災害対策本部の設置が加えられています。(以下災害対策基本計画参照)

(5) 特定災害対策本部の設置と活動体制
(新設) ○内閣総理大臣は,収集された情報により非常災害に至らない大規模な災害が発生していると認められたとき(鉄道災害においては関係機関の協力による広域的な支援が必要と認められるとき)は,直ちに特定災害対策本部を設置するものとする


 そして、非常災害対策本部長を内閣総理大臣に変更するとともに、災害が発生するおそれがある段階で災害対策本部を設置するとしています。

〇個別避難計画の作成


・避難⾏動要⽀援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、個別避難計画について、市町村に作成を努⼒義務化

 避難行動の要支援者には、個別避難計画の作成が努力義務化されました。災害対策基本計画に以下の内容が追加されています。

○市町村は,市町村地域防災計画に基づき,防災担当部局や福祉担当部局など関係部局の連携の下,福祉専門職,社会福祉協議会,民生委員,地域住民等の避難支援等に携わる関係者と連携して,名簿情報に係る避難行動要支援者ごとに,作成の同意を得て,個別避難計画を作成するよう努めるものとする。また,個別避難計画については,避難行動要支援者の状況の変化,ハザードマップの見直しや更新,災害時の避難方法等の変更等を適切に反映したものとなるよう,必要に応じて更新するとともに,庁舎の被災等の事態が生じた場合においても,計画の活用に支障が生じないよう,個別避難計画情報の適切な管理に努めるものとする。

〇避難勧告・避難指⽰の⼀本化等


・避難勧告・指⽰を⼀本化し、従来の勧告の段階から避難指⽰を⾏うこととし、避難情報のあり⽅を包括的に⾒直し

 これは最近随分報道されていますので、お気づきの方も多いと思います。台風時など避難勧告をどのタイミングで出すのか、それを上回る避難指示はどうなのか基準作成で随分迷ったりしましたが、それはなくなります。

 しかし、その分、避難指示を出すときの重みが違ってきます。全体的に、早めの避難をお願いして、しっかり、大切な命を救いたいということなのでしょう。

〇広域避難に関する事項


・災害が発⽣するおそれがある段階での広域避難の実施のための⾃治体間の協議
・他の⾃治体との応援協定や、運送事業者等との協定の締結
・⼤規模広域災害時に円滑な避難が可能となるよう、実践型の防災訓練の実施

 広域避難に関する事項も修正されています。南海トラフ大地震が想定されるなど、大規模な災害が発生した場合には、単独の自治体では災害対応は不可能と言えるぐらい難しくなります。

 そんな時のための対応の充実、また実践に近い日頃の訓練が求められているのだと思います。

その他の修正

 防災対策基本法を踏まえた修正以外では、「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた修正」や「最近の施策の進展等を踏まえた修正」がなされています。

 「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた修正」を項目のみ紹介すると以下の通りです。

〇避難所における感染症対策
・避難者の健康管理、避難所の衛⽣管理や適切な空間の確保等
〇避難所開設・運営訓練の実施
・感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練の積極的な実施
〇パーティション等の備蓄の促進
・マスク、消毒液に加え、パーティション等の感染症対策に必要な物資の備蓄の促進
〇コロナの⾃宅療養者等に対する情報共有等
・平常時からの、⾃宅療養者等が危険エリアに居住しているかの確認
・⾃宅療養者等の避難の確保に向けた具体的な検討・調整、情報提供
〇被災⾃治体への応援職員等の感染症対策

 新型コロナウイルス対策については、昨年から取り上げられ、私も現役中はその対策に力を入れてきましたが、まだまだ脅威は消えません。予防接種が始まり光は見えてきていますが、油断することなく対応に努力していくべきだと思います。

 また、新型コロナウイルス感染症対策だけでなく、最近のデジタル化、ボランティアのあり方、女性の視点を踏まえた防災対策など最近の施策の展開も考慮しながら防災対策を進める必要があるようです。

防災対策を考える(「自・共・公助」)

 政府では、令和2年度版防災白書の中で、「国民の防災意識の向上」として、次のような文書がまとめられています。

我が国は自然災害が多いことから、平常時には堤防等のハード整備やハザードマップの作成等のソフト対策を実施し、災害時には救急救命、職員の現地派遣による人的支援、被災府県からの要請を待たずに避難所避難者へ必要不可欠と見込まれる物資を緊急輸送するプッシュ型物資支援、激甚災害指定や被災者生活再建支援法等による資金的支援等、「公助」による取組を絶え間なく続けているところである。
しかし、現在想定されている南海トラフ地震のような広域的な大規模災害が発生した場合には、公助の限界についての懸念も指摘されている。事実、阪神・淡路大震災では、家族も含む「自助」や近隣住民等の「共助」により約8割が救出されており、「公助」である救助隊による救出は約2割程度に過ぎなかったという調査結果がある(図表1-1-1)。市町村合併による市町村エリアの広域化、地方公共団体の公務員数の減少など、地方行政を取り巻く環境が厳しさを増す中、高齢社会の下で災害時に配慮を要する高齢者等は増加傾向にあり、国民一人一人が災害を「他人事」ではなく「自分事」として捉え、防災・減災のための具体的な行動を起こすことにより、「自らの命は自らが守る」「地域住民で助け合う」という防災意識が醸成された地域社会を構築することが重要である。

 書かれていることは、その通りだなと思います。でも、です。なんかなーって感じが残ります。

まとめ(考察)

 今日は、防災基本計画について、紹介してみました。梅雨にも入りタイムリーかなと思って書きました。

 一昨日に計画の修正があったようなので、その内容を中心に紹介しましたが、もっと他に書くべき重要なことがあったのだろうなと思います。

 少しでも防災行政をかじったものとして、その難しさはわかりますし、「自助」、「共助」の大切さもよくわかります。それでも、そのことを大上段に持ってこられると、「なんだかなー」って思ってしまいます。

 台風など、災害が発生して、行政の方で注意喚起を行なっても、聞いていただけないケースもあります。私の経験したケースでは、台風接近中にサーフィンを楽しんでいた若者もいました。

 その意識を変えてもらうのは、なかなか難しいものだろうとも思います。それでも、やはり、「公」としては、その努力をしっかり追求すべきだろうと思います。

 やり続けるその姿の後ろ姿をみんな見ているんじゃないかなと思います。「自助」「共助」とても大切です。それがこれから先の中心になっていくのだろうと私も考えます。

 だからこそ、「公」が「自」「共」をしっかりサポートする体制を充実させるべきではないでしょうか。

I thought about disaster prevention, focusing on the revision of the disaster countermeasures basic plan. I think it is important to have public assistance that supports self-help and mutual assistance. I think that disaster countermeasures will not work unless various actors work together. Both self-help and mutual help must be promoted even more. That is why it is public assistance.

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